終末を待つだけの雑記

永久に青春を感じる中年がお届けします

昔誕生会という名目で開かれたコロッセオなオフ会があったんだよ

事務所内にある箱を潰しまわっていたら虚無で一杯になった。
こんにちわ僕です。

箱というのはすごく良くできており、色んな要素が組み合わさってピッ質と作られているということがわかる。
様々な素材があり、様々な折り方があり、様々な綴じ方がある。
全てごみになる。
見た目は悪いがAliExpressが正しいのかもしれないと思ってしまうが、そんなことはない。
買い物をするとき、開封するときのドキドキ感について僕たちはずっと忘れられないでいる。

あれはたぶん今から20年ぐらい前だ。
『明日誕生会を代々木公園で行います』
一流ホームページのゴトウさんが日記の中で書いていたのだ。
ゴトウさんとカレーを食べたいという下心を持っていた僕は次の日の予定が決まったことにワクワクしていた。
当時は携帯電話がなんとか一部の人間が持っているという時代なので、どこにいるなどは全くわからない。

多分ゴトウさんの昔の日記の中で明言していたことなので別に書いていいと思うのだけど、ゴトウさんには好きな人がいた。本題ではないから書いておくと好きな人は、ファティマみたいな人だった。

広大な代々木公園では多くの人がワイワイと声を出しはしゃいでいた。
春だったか夏だったか忘れたが、とにかく陽のオーラが園内を包み込んでいた。
広いう公園内をぐるっと一周する感じで探してみたが現場がわからない。
もう一周するかと思ったときに、それはあった。

一人の中年男性を中心に同心円状に車座になる1団。
中心の中年男性は怯えていて、同心円状に囲んで座っている属性のわからない人々は無言だったりニヤニヤしている。
間違いない、ここが会場だ。
意を決し、中心の人物に『ゴトウさんですか?』とたずね、頷きを確認したあと、僕は大体2段めに当たる同心円の空いているところに腰を掛けた。

日はまだ高く何が始まるわけでもなく、周りのピクニック客に囲まれながら自分たちはじっとしていた。
ふと後ろからの視線が増えているような気がしたので振り向くと、同心円が増えている。
当然のようにゴトウさんの後ろにも同じように円が増えている。
来るお客さんはゴトウさんにプレゼントを渡したりしているが、そうだプレゼントを持ってくるべきだった。などと思いながら、握手をして皆一様に同心円に吸い込まれてゆく。

積まれてゆくプレゼント、中年男性を真ん中にした同心円。


明らかに異質であった。
これは多分現場にいないとわからないと思うのだけれども、周りからは変な宗教だと思われていたのではないだろうか。

そこに八神庵みたいな派手な男となんだか妖艶な雰囲気を醸した美少女カップルが現れた。
なにかの間違いかと思っていたが、どうやら誕生会の参加者らしい。
我々が(おそらくすでに30人以上はいたと思う)、僕を含め何もしないので彼らが余興をやると言ったのだと思う。
ちなみに二人はなぜか手錠でお互い繋がれていた。

突然のことであまり覚えていないのだけれども、二人は公序良俗に反するようなことはしないが、随分とねっとりとしたキスをし始めたかと思えば、彼女側がゴトウさんに迫ったりした。
あっけにとられていたが、その後何もなかったかのように八神庵が乾杯をみんなにすすめ、各々持っていた飲み物や、プレゼントの中にあった酒などが配られ、乾杯が行われた。

その後は割と普通のオフ会であったが、ふとゴトウさんを見ると、やはりオフ会参加者とはほとんど絡まず、そのうち現れた好きな人といちゃいちゃ(には満たなかった)していたので良かったなと思った。
二次会はあったのかなかったのかわからなかったが、その後の記憶が僕にはない。

その後であるが、何故か八神庵とネットで仲良くさせてもらっていた。
美容師だということだったが、割と現場を転々としていた印象だった。
通勤交通費をありえないルートの定期をでっち上げ、金をせしめるという現代だったらだいぶ問題になりそうなことをしていたが、面白い男だった。


妖艶な彼女のことをその時は大事にしていたようなので、少しいびつではあるなと思いつつ、実は自分の中での理想的なカップルだったりもした。