23日め
すきでもない女の子と寝るのはそんなに得意じゃないのだけれども、職業柄そういうこともある。その日はとても地味な女の子でとても無口だった。僕が必死に会話をしようとしても、随分と気の無い返事をして、それから、ホテルに入ってからも物音ひとつ立てずに、唇はぎゅっと締まったジッパーのように閉じられていた。たまに出る吐息がなければ、その子が人間だったのかもわからないぐらいに。朝が来て、喫茶店で一人ぼんやりとコーヒーを飲んでいると、昨日の彼女のことが気になり始めた。こんな経験は初めてだった。ふらふらと、ホテルまで歩くと、缶ビールを持った昨日の女の子が道端で小さく立っていた。おはようございます。それから彼女は一緒に死のうといった。僕はいいよと言って、ただ死ぬ前に死なない方法を探そうと彼女に行って、旅行を始めた。
映画撮りたくなってくる。