終末を待つだけの雑記

永久に青春を感じる中年がお届けします

同居人と僕

ちょうどあと1週間で同居人が家を出るので、誰も読んでいないであろうここに、少し愚痴も交えてアウトラインだけ書いておこうと思う。

最初にあったのは4年ほど前、僕が2chのとあるスレで、週3~4のペースで、異性と会うという行為を行っていた際に出会ったのがきっかけだ。なんでこんなに会えたのかはわからない。言い訳になるが、会っていただけで行為に及んだのは今の同居人しかいない。

僕は極度に疲れていて、前の恋愛の痛手もあって、落ち着ける場所が欲しかったから、無理をしてもそういう人を見つけるんだという想いで行動していたように思う。でも会う人会う人が、自分がどんどんやれていくような人ばかりで、正直心はぽっきりと折れそうだった。彼女にあって、そういう感じで活動をしている、と正直に話したのは3週目あたりだったと思う。仕事にも、そういう人と会う事にも疲れていて、お気に入りのカフェに入ってだらっとしていた。目は半分もあいていなかったと思う。でも彼女は、今まであってきた中で何番目かには綺麗な人だったし、貧乳でロリっぽくてでも言動は大人だった。だから僕は好意を持ったし、その次にあった女の人で、そういう女生と会い続けるという行為をやめた。同居人と会った日、エレベーターの中で僕は無理矢理に唇を奪った。なんか、だって好きになってしまっていたのだと思う。それが間違いだったとは思わない。僕は若かったし、彼女もまた若かった。そのままその日はバイバイをして、メールを交換した。

 

ちなみに僕はその時点から片思いをしている女性が居て、今でもしている。でももうさすがに5年6年と立つと脈が無いとはっきり分かる程度には大人になったんだと思う。女子中高生のようだけれども、その片思いの相手のアドレスは電話番号ごと消した。(それも3度ほど)思い出したように電話がかかってきたり、メールが来るから、その気にさせられる。僕は単純なので犬のようにうれしくなるのだけれども、すぐに音信不通になりしょげる。そういうのはもういいんじゃないかと、同居人が出ていくタイミングで好きな人も切ろうと思った。関係を切るという事を自分からしたのは初めてだったが、別に今までさんざん自分がされてきたことだし、今更何を背徳感を感じるところがあるのだろうか。

 

同居人とはその後何度かデートをして、付き合う前に確か性交渉をしたと思う。嫌がる彼女は、でもまぁ、それなりに受け入れてくれたように思うが、真偽は彼女にしかわからない。ずっと嫌だったのかもしれない。今更訴えられても当時の僕は彼女が好きだったし、彼女との行為が好きだった。同居人が学校を卒業すると同時に僕の家に住むようになって、いろんな話をして、いろんなスレ違いがあって、それこそいろいろなことがあった。いいことも悪いことも、恋愛における少女漫画のようなことは割と全部やったんじゃないかと思う。

彼女は僕をほかの誰かに触らせたがらなかったが、彼女は同居してすぐぐらいに浮気をしてそれを自慢してきた。

僕は激怒したけれど、自分のふがいなさに絶望した。彼女は多分それを知らないだろう。僕は悩んで悩んで彼女を追いだす選択肢を選ばなかった。当時は会社勤めをしていて、家賃は今と変わらなかったが、さまざまな維持費が今よりも数万円安かったので薄給でもなんとか生きていけた。だから別に追い出してもよかったのだ。でも彼女はそれを嫌がったし、もうしないといった。でも確か2人目もいたような気がする。その辺は曖昧だ。

 

僕が精神科に通っていることを彼女は知っていて、それでも彼女はあまり気にすることなく、僕が酒をあおるのを楽しそうに見ていた。余談だがこれを書いている今は散々飲み散らかした挙句、起きてしまったが故に、眠剤をパリパリとくって書いている。冷めてしまった酔いはどうしようもないと思うのだ。眠剤でも眠れない僕はいわゆる不眠症なのだけれども、抗不安剤を飲みつくしたおかげで、ストックが無い。未来の自分を犠牲にしてまで睡眠が欲しいわけでもないので、今日はこのままか、朝寝ることになるだろう。椅子から何度かひっくり返る僕を、彼女は何度もたしなめた。よく頭を打たなかったものだと思う。いや、打っていたけれども気が付かなかっただけなのかもしれない。どちらにせよひどい健忘と二日酔いのような息苦しさを抱え、僕は会社で仕事をした。

そういう健忘時に彼女は大切な話をしていたらしく、忘れてしまっている僕を嘲笑した。僕が悪いのだけれども、これは僕だけの問題ではないと思う。

精神科はもともと住んでいた地域にあって、月一で通っていたため、最初のころは彼女と一緒に出掛け、やおしげという和食屋でランチを食べた。そこはとてもおいしい魚やおにくを安価で提供してくれる店で、今でも僕は通っている。(だいたい月一だけれども)彼女は喜んでいたし、そのあとの買い物も、疲れやすい僕が疲れるまで街を散歩したりした。

今考えると、最初から最後まであまり何も変わらなかったような気がする。

彼女が楽天に嵌って買い物を鬼のようにするようになったりはしたけれども、別に僕は構わなかった。財布は別だったし、そもそも僕の買うものと彼女の買うものでは桁が違ったから何の不都合もなかった。彼女が全身合わせての金額が僕のシャツ一枚という事はざらにあり、そもそもメンズの服は高いので、そういうものだろうと割り切っていた。でも別に僕はそんな高い服は持っていない。

ある時テレビが無いことに業を煮やした彼女がテレビを買いに行こうといって、ヨドバシに買いに出かけた。半分づつ出したテレビ。当時でも相当安かったと思うが、今はその半額ぐらいになっている。余談だが、そのテレビを僕は彼女にあげることにした。僕は新しいものを買うと思うし、どうせアニメしか見ないのだから。その代り僕はPS3をもらう手はずになっている。なぜかというと家にあるPS3はトルネで撮ったアニメでいっぱいだからだ。彼女は確か新しいPS3をすでに買っていたような気がする。どうでもいい話過ぎた。

1年目の冬に婚約指輪を買った。

当時の僕の貯金とも呼べない預金の半分以上を使って、フルオーダーで作ってもらった。石は祖母の形見で、ちょっとびっくりするほどの大きさのダイヤモンドだが、一生付き合っていく相手だしと思って、彼女にクリスマス前にプレゼントをした。多分引っ越しを含めて一番高い買い物はそれなんじゃないかと思う。今更返してほしいと思わないし、当時の彼女の喜ぶ顔を思い出すと、何も言えない。浮気をしていたことは事実だが、まだ赦せてはいないけれども、普段無表情な彼女が笑う姿に、僕は愛おしさを感じていた。

 

でもそういう美談ではない。僕たちは付き合う前に様々な合意を取っていた。それは余りにもプライバシーにかかわる事だから、一つだけにするけれども『結婚をしたとしても子供は絶対に作らない』という事だ。

僕も彼女も子供が苦手だし、それはそういうことで良いと思っていた。今でもそれはその通りだけれども、僕が今から付き合うかもしれない誰か(誰も候補者はいない)にも同じことを言うと思う。それでも欲しいと言われたらその時にじっくり考えてみようと思う。弟に子供がいることもあって、昔ほどの苦手さはなくなっている。今ならば割とどうとでもなるのかもしれないと思っているが、出来る事ならば、もう少し仕事に対して真摯でいたいと思っているし、自分の会社について真面目に考えたいと思っていることは間違いない。役員が一人とアルバイトが二人。とても小さな会社ではあるが、僕は割と気に入っている。お金さえあれば、あと3人ぐらいのスタッフをかこって、世間から『どうでもいい会社』という目で見られたい。自分たちが幸せであればよいのだ。また横道にそれた。

 

それから、数年が過ぎ、たぶん僕がいけなかったんだろう。肌を重ねる回数が激減し、彼女は僕に対して不満を言うようになった。

僕はほとんどインポのような感じであって、一人ではできるけれども彼女ではいけなくなってしまった。これは恥ずかしい話で初めて告白するけれども、たぶんそういう事も原因のひとつなんだろう。僕はそれを直す努力をしなかったし、彼女は彼女で忙しそうだった。そもそも夜に酒を飲み始めると、歯止めがきかなくなるので、セックスどころの騒ぎではないのだ。いつ倒れるのか、いつ闇に引きづり込まれるのか、その前にいかに薬を飲むのか。仕事はどうするのか、僕は夜のセックスが苦手だった。でも彼女はそれを好んでいたしそれを好む彼女に僕は応えられなかった、きっとそういう細かな相違が僕たちを遠くさせた。

 

結局まるっと4年弱付き合って、彼女には新しい恋人が出来て、僕は一人になる。

得たものはきっとたくさんあるだろうけれども、どちらかといえば失ったモノの方が多いような気がする。29になってしまった僕は、相変わらずの低所得者。結果、彼女と同じように若い女の子を探すことになるだろう。飲酒の量は変わっていない。薬の量は増えた。それは彼女は関係のないことだ。

沢山の友達が結婚をして、子供の写真をインターネットに撒いている。幸せそうな弟夫婦の愚痴を聞き、新しく夫婦になった一番下の弟の話も聞かなければいけないと思っている。会社には自分の結婚資金と言って母が食べていてくれたお金をとかそうとしている。あまりいい話ではない。でも僕は後ろ向きでも前を見ることしかできない。進むしかない。首をくくる前には、会社を辞めることになるのかもしれないけれども、支援してくれた人たちに応えたいという想いがある。彼女との何年間は楽しかったがvoidだったような気もする。学んだこと、貰ったモノ、教えてくれたことはいっぱいあるけれど、それは過去に自分が経験したことの復習でしかないような気もする。

あれもこれもそれも、懐かしいと思うほどに、彼女にとっては新鮮でも、僕にとっては、記憶の端っこなんだと思う。そう思うと、これから付き合う人には、何を求めていけばいいのかわからない。

 

彼女は出ていく。同居人ですらなくなる。3DKのこの家は、一人には少し広すぎることになる。

でも彼女との距離はこのぐらいが最初からちょうどよかったのかもしれない。僕たちは若く、でもやっぱり年の差が、経験が、僕の我儘が、彼女の身勝手さが僕たちを離したのだと思う。

30という年齢のカウントダウンは始まっている。ただ、変な話きっとこれで良かったのだと思う。僕にはもったいないくらいの可愛い女の子(もう成人女性だが)だった。死ぬまで続くと思っていた関係性も、これで終わる。こんなふうにして一人の人を振り返ったことはいまだかつてない。断片的ではあるけれども、こうやって楔のように記憶を書きつけておきたいと思った。

もうあまり会うことはないだろう。だからさようならぐらい、ちゃんと言えればいいなと思っている。

 

きっと、これから先何度も彼女のことを思い出すだろう。

だけど、それはもう僕の思い人ではないのだ。何年もしないうちに電話帳からその名前は消えるだろう。彼女に書いてもらったアイコンは、僕がもういいと思った時に何か別のものに差し替わるだろう。記憶は薄れ、僕は新しい人を見つけなければならない。結婚するかどうかはわからないけれど、僕にはそういう使命があると思う。

いつ果てるか朽ちるかわからないこの肉体でも、恋と想いを、誰かに吹き込んでいかなければならない。

本をきちんとかけない分、記憶をページに見立てて、一つ先の未来を手繰っていくしかないのだ。

もうあまり先は長くない。僕はそろそろがむしゃらになって、生き始めなければならないのだと思う。

 

最後は自分のことになってしまった。また面白おかしいエピソードを思い出したら書くかもしれない。

でも、一旦はこれで彼女との記憶は閉じてしまおうと思う。