世界の果てで終末を待つだけの雑記

患った中二病は30代になっても僕を蝕む

いやですだめですいけません 感想

そもそもは宇宙さんが出る舞台だからということで何の下調べもせずに行ったのが間違いで、…というか、宇宙さんが出る舞台は本人が『私は自分で出る舞台を台本読ませてもらってから出演させてもらってるから、絶対に面白いよ!だから来て!!』というのを本当にそうだったなぁ、という感じで痛感させられた舞台だった。
自分ではまず見に行かないタイプのブラックユーモアと設定のものなのだけれども、こう、深夜とかに変なテンションでドラマ見たらはまっちゃって、毎週欠かさず見る、みたいなタイプのホンだったなぁ。と。改めて思った。
シンプルに面白かったので、それは初日を見て抱いたぼんやりとした感想だったのだけれども、千秋楽の、どこか新喜劇も感じさせられる流れるようなお芝居は、生々しかったし、そこにキャストというよりも、その世界が本当にあるようだった。

主人公のライサクさんという一見どこにでもいる中年の職員さん役が本当にいい味を出していて、とにかくかっこいい。
どんなふうにと言われると、不器用さが転じて、真面目さが仇となっていって、心に深い傷を負っていくところなんだけど、なかなかこういうタイプの主人公は報われない。けれどもそんな主人公の周りでは彼を陥れるためではなく、もしくは彼の全く関与しないところで、かっこいい男たちがいて、その登場人物たちが、直接的にではなく、主人公のライサクを深く深く傷つけていく。
優しく、儚く、人間はもろいものなんだと、ただその脆さの一歩手前で踏みとどまる生き方を一生懸命さを見せつけられるのは、人間として深く共感したし、あまりにも感情移入をしてしまった。

人間は優しい。けれどもその優しさは、あまりにも罪深い。
彼は、ずっと昔に一線を越えてしまったのだ。
だけれども、その一線を超えたことを本人は知らなかった。川を渡ることで、その夜があったことで、遠い昔に越えてしまった一線を具体的にしてしまっただけなのかもしれないと思った。

宇宙さんが演じるツルギ役は、本当に主人公を倒す聖なる剣だった。
ツルギはあまりにも鋭く、主人公を突き刺した。あまりにも実直で眩しく鋭い刃は、彼を動転させるにまで至った。
自分の過ちを自身であまりにも強く理解していたはずのライサクの心を、映し出す鏡だった。どんなに後悔しないと決めていたことだろうに、その彼を絶望の底に突き落とす役立った。それも、彼が行ったように本当に実直なやり方で。

正義はどこにもあった。
誰もが正義だった。だからそういう意味では、ナリタも自分を貫いた主人公の一人だった。
色々と突っ込みどころが多く、そういうキャラクターなのは理解しても、彼は自分の美学を曲げなかった。
と言うか、このホンに出てくる人間でやわな精神の持ち主は誰一人としていない。
弱くはあっても、誰かに振り回されるだけの人間はいなかった。

この本を書いた人は改めてすごいと感じている。
そしてこのホンが公開された所に居合わせることの出来た幸運に僕は感謝したい。
きっとこのホンは愛されたものになるようなきがする。

宇宙さんが好きだから、このチケットを手にしたけれども、大人の麦茶って劇団が愛されている理由は、キャストのまた裏方含めたすべての人があまりにも実直なんじゃないかっていう気持ちにさせられる、清々しいチームを作っていたんじゃないかって、思う。
でも宇宙さんが好きじゃなかったら、このチケットは手にしていない。
僕は、オタクで本当に良かったって思っている。
こういう幸運があるから、本当はもっと外に出て、自分自身の糧となるようなものを見てくるべきだった。
僕はあまりにも自分の内面へ進みすぎてしまった結果、そこには何もないんだと気がついてしまったから、それでは、じゃぁライサクと同じようにただ実直にすすむしか無いのかもしれないって思い始めていた。
それも良い、でもそうじゃないんだよって、ツルギが教えてくれた。

宇宙さんのあまりにもすんだ眼差しや振る舞いや、美しい声や、そういったものだけで感動したわけではないと、思いたい。

再演があったらどうだろうかと今ふと思った。
でもその時、僕はもういかないと思ってしまった、なぜなら僕の中での最高のキャストは今回のキャストだったと思う。一分の隙間もなくベストキャストだった。僕の中のとっておきの宝箱の中にしまっておきたいと思ってしまっている。

話は逸れるのだけれども、何らかの漫画やアニメの原作がアニメになったときに違和感をあまり感じる方ではない。
どちらもそれなりに好きだと思えるからだ。

でも今回の公演についてようやく原作厨、オリジナル厨という言葉を感じる事になりそうだ。
本当に素敵な時間をありがとうございました。

大した感想じゃないけれども、僕の中のふわふわしたものはこんな感じの文章になった。