21日め
スカッと晴れた日曜の午後、暖冬だとは言われていたが、やはり冬はさむい。モヤイ像の前で待っているのは、人人人。ぼくは来ることもないであろう人を待って、タバコに火をつけた。いつも物語は唐突に始まる。今までがそうだったように、これからも。あの、スミマセン。ぼくの目の前に立ったのは、消え入りそうなほどの美少女。うっかり見とれたぼくに彼女は、冬のように冷たく、聞いてます?と尋ねた。ちょっとお願いしたいことがあって。そう言ってぼくは彼女の大事な人を探す。それが自分も探している相手だということに気がつかないまま。
終盤戦も終盤戦である。
まだ安心はできない。