コンピューター将棋が面白い感じになってきている。間違いなく火をつけたのはやねさんで、そのやねさんが問題視されているのだけれども、いくつかのルールが混同されて怒りにつながっているように感じるので僕としての思うところを書いておく。
bonanzaベースからstockfish風の実装に変更
ここが問題視されているけれども、僕としてはあまり問題にすべき点ではないと思う。
と、いうのは、ここ10年以上日本のコンピューター将棋で独自路線を走っていたのはいくつかしかなく(GPSやツツカナなど)、強いbonanzaに右へならえでどんどん細かいバグ取り等でコンピューターが強くなってきていた。
去年の段階のやねうら王についてはなんとなくbonanzaべーすの何かをもじったものであって、探索部分は殆どアーキテクチャは同じだろう。ただ付属物としていくつかの定番定石にのると勝てるように工夫した物がバグだらけの去年の物であった、という認識。
だから本人も電気代が欲しい等とおっしゃっていたが、本当は4位になる事も想定外であったのではないかと思う。
本当であれば、あの席にはaperyが居てもおかしくなかった。
で、何が問題でないかというと、人間がコンピューターを攻略していけるのに、コンピューターは進化をそこで止めなきゃいけないというルール。
本来であれば対戦者が決まった時点で開発車はその棋士の癖等から探索スピードや調整をしたいはずである。それが許されない。
しかし多くのソフトはそれでかまわないのも事実である。なぜかというと、有名な棋士の棋譜については既に学習済みであり、3ヶ月という時間はあまりにも短く意味をなさないからだ。
しかし、やねさんのもつやねうら王については、あとづけの機能によって多くのバグが発生している事を確認していると言っている。多分そのバグをとりきる事は不毛な作業であり、やねさんのブログを読んでいる限り2月には新しいソフトの開発をしていた。
なので、ドワンゴの了承を経てバグ修正版として新規開発した安定板をサトシン氏に提供したという事だと思われる。
ネットでがやがや言ってる人たちは、『将棋連盟が確認した限りバグは確認されていない』などというひとが居るが、例えば、スーパーで特定の商品の組み合わせでレジを通すと、100万円請求される。というバグがあったとしよう。
明らかにそれはバグなのだが、それは店の信用を落とし、そのシステムを提供している会社の信用につながる。その現象に遭遇した人間は大激怒するだろう。
しかし、その特定の商品の組み合わせは起きない事の方が圧倒的に多いので、問題ないのでは、と言っている。
これは矛盾している。ほんとにその状態になったときに客としてあなたは怒らないのか。
いくら天才でも工数の見積もりが出来なければこんな事にはならなかっただろう。工数的にぎりぎりクリアできると読んで開発をはじめ、一定のレベルに達したとやねさんが思ったから作ったのだろう。しかし結局あいまいであり、難しい問題である。新しいやねうら王は、どうやら以前のやねうら王よりも強いかもしれない、しかし同じ土俵で強さを確認する事が出来ない(なぜなら、新やねうら王は旧やねうら王のバグを既知の問題としてついてくる事が出来るからだ)過去の棋譜を読んで学習していくことが新しいソフトで中途半端であり、時間が足りない、しかし今のところバグらしいバグはないし、それなりに強い。多分以前の物と遜色無い程度には強いだろう。そのバージョンを固定としてサトシンになるべく早い段階で渡した。
ここが結局やねさんが弱腰であった理由だと推測する。
新しい物が、今後強くなっていく事は分かっているが、その過程は指数関数的に強くなるかどうかはこれからの課題であり、今の段階の問題ではない。今は前回の物と結果同じぐらいの強さの物であるはずだ、という想定。
未知の物について正当な評価は出来ない。
今回ネット民の人たちがとにかく反感を買っているのは、ルールの存在である。
去年時点のソフトから改変してはいけない。この一点である。
何故こんなくだらないルールをもうけたのか理解しがたい。結局ドワンゴのイベントの打ち方の脇の甘さとしか言えない。これは超会議の第一弾にいったときも同じ事を思った。とにかく全てのしきりがアマチュアであると。
責任を取るのはやねさんではなくてドワンゴである。
ルールを破っている事はやねさんは知っている、ドワンゴ側も知っている、将棋連盟も知っている、そしてサトシンはそれを触っている。
他の棋士とは時間的土俵は違うかもしれないが、結局どの程度強い物か分からない物と戦うだけの事であり、それは新も旧も関係ない。サトシン側、将棋連盟側は勝てば良いだけである。
やねさん的には、ソフトが暴走したり落ちたりしない事が重要である。
ドワンゴがやらかした物をひどいPVでやねさんに押し付けた事が、最もアマチュアっぽく結果面白くない興行にしている。ちゃんと責任を取っていただきたい。
長くなってしまったが、今回思ったのは以上の事である。
何度も文章が重複してしまって読みにくくなってしまっている事について陳謝する。